2020-01-01から1年間の記事一覧

『STAND BY ME ドラえもん』

『STAND BY ME ドラえもん』は2014年夏に公開されたドラえもんの映画作品である。例年3月に公開されている所謂「大長編」とは異なる立ち位置で、人気のある短編作品をオムニバス的に収録しつつ、1本の長編映画として筋の通ったストーリー展開に仕立てている…

齋藤孝『読書力』(岩波新書,2001年)

本書*1は,日本人に読書力の涵養を訴える本である。著者の齋藤孝は,Eテレ『にほんごであそぼ』の総合指導や著書『声に出して読みたい日本語』などで知られる。 私が先日来読書への動機付けに飢えていることは既に他の記事で言及した通りだが,その欲求は本…

【ネタバレ注意】『ドラえもん のび太の新恐竜』

例年より5ヶ月ほど遅れて今年のドラえもん映画が今日公開された。早速観て来たので,少し感想を垂れ流そうと思う。本稿にはネタバレが含まれることになるから,注意されたし。 まず本編開始前の予告で気になった作品が2本。 1本目は『クレヨンしんちゃん ラ…

ドラえもん のび太と助詞の使われ方

ドラえもん映画作品は1980年から例年3月に公開されている。2020年は新型コロナウイルスの影響により,公開予定日が従来予定されていた3月6日(金)から同年8月7日(金)に変更された*1。この作品群は声優陣が交代した2005年を境として,それより前に公開され…

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』

本作品は2020年春アニメとしてMBS等で放映されていた。1クール12話完結。私は全話をdアニメストアにて視聴した。原作は山口悟による同名のライトノベルシリーズである。原作小説は2014年7月から小説家になろうにて連載され*1,2015年に一迅社文庫アイリスか…

瀬名秀明(藤子・F・不二雄原作)『小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団』(小学館Kindle版,2011年)

『ドラえもん のび太と鉄人兵団』が名作であることは疑いようがない。その小説版の存在はなんとなく知っていたものの,今迄食指が動かず読まないままでいた。先日,AmazonのPrime Readingに本タイトル*1が追加されていたのを発見し,ついに手に取るに至った。…

永田希『積読こそが完全な読書術である』(イースト・プレス,2020年)

本書*1は,その表題の通り,積読の指南書である。 このような表題の書籍を購ったのは,当然,私が多くの本を積読していることの正当性を確保したかったからである。私が読書術系統の指南書を購入するのはこれが初めてであったが,この本は私の目的意識にかな…

忘れるために書くということ

1年ほど前の記事で,私は「忘れないために書くか忘れるために書くか」というものを書いた。 kishiryu.hatenablog.com 自戒も込めて,今改めてこのことについて考えてみることにする。 最近,このブログの更新が滞っている。私が如何に物臭な人間であるかが如…

【ネタバレ注意】『メイドインアビス:深き魂の黎明』

本作は2020年1月17日に公開された「メイドインアビス」シリーズの新作映画である。映倫による鑑賞区分はR15+。 本作の感想を述べる前に,本作鑑賞時における私の「メイドインアビス」シリーズ鑑賞暦を述べておけば,原作漫画は完全に未読であり,アニメ放映…

瀬田貞二『幼い子の文学〔第25版〕』(中公新書,2017年)

本書*1は,あとがき*2によれば,瀬田が都立日比谷図書館で1976年6月から半年ほどの間,月1回のペースで行った児童図書館講座「おはなし」の講演録である。瀬田が亡くなったのは1979年であるから,本書では晩年の瀬田が児童文学に対してどのように向き合い,…