永田希『積読こそが完全な読書術である』(イースト・プレス,2020年)

本書*1は,その表題の通り,積読の指南書である。

このような表題の書籍を購ったのは,当然,私が多くの本を積読していることの正当性を確保したかったからである。私が読書術系統の指南書を購入するのはこれが初めてであったが,この本は私の目的意識にかなりの程度適合していたと言える。指南書の内容をあまり書き連ねるのは褒められたことではないだろうからその点には触れないが,積読してよいという許しが説得力豊かな筆致で語られたことで,私の積読への後ろめたさは限りなく軽くなった。また,私のこれまでの積読方針,すなわち自らの興味のあるいくらかの主題に関する本について情報を集め,気になったものを無造作に買い集めていくやり方が,そんなに間違っていなかったことが確かめられたことも良かった。読書の仕方としては,私は今まで通読するか,一切本を開かないか,頭から読み始めて途中で読むのを止めてしまうかの3通りくらいしか実践してこなかったから,要所を摘まみ摘まみ斜め読みする作法も覚えていきたいと感じた。

限りある短い人生であるからこそ,自らの精神に過負荷を掛けることなく,胸を張ってこれからも積読を楽しんでいきたい。

*1:永田希『積読こそが完全な読書術である』(イースト・プレス,2020年)。