【ネタバレ注意】『メイドインアビス:深き魂の黎明』

本作は2020年1月17日に公開された「メイドインアビス」シリーズの新作映画である。映倫による鑑賞区分はR15+。

本作の感想を述べる前に,本作鑑賞時における私の「メイドインアビス」シリーズ鑑賞暦を述べておけば,原作漫画は完全に未読であり,アニメ放映時に1周視聴,本作鑑賞前日に復習を兼ねてアニメをもう1周視聴した。本作視聴は公開日。

以下,本題に入る。

映画本編上映直前に,「観る入場者プレゼント」として『マルルクちゃんの日常』第1話「おねがい」が上映された。公式サイトによれば4週連続週替わり4話上映予定の模様*1。マルルクちゃんが可愛くて大変宜しい。上映時間は10分未満程度であったように記憶しているが,計時していたわけではないので確証はない。レイトショー等割引をできるだけ活用しても4話全てを鑑賞するには入場料6000円前後に交通費等々が加わり,さすがに私がひと月で映画に掛けられる支出をオーバーしそうであるのと,後述するが本編の鮮烈な描写に私の精神があと3回も耐えられるか判断がつかないため,4話全てが映画の円盤に映像特典として付帯してくれやしないかと切に願う。

映画本編は,アニメの続きからの新作ストーリーである。ナナチのアジトを後にし,深界六層に向けて旅を始めたところからスタートする。ストーリーをつぶさに記述したところで意味はないと思われるので必要な部分のみで簡便に済ませたいと思うが,私が非常に強く感じたのは,映倫による鑑賞区分R15+指定は確実に必要であったであろうということだ。戦闘における肉体の描写であるとか,ボンドルドの作り出したカートリッジの描写などは中々きついものがある。カートリッジについては「R-TYPE」シリーズにおけるR-9CのANGEL PACKの逸話以上の衝撃を私にもたらした。可愛い絵柄にグロテスクな描写というと私には真っ先に『Happy Tree Friends』が想起されてしまうのだが,本作はあちらよりグロテスクな描写に理由があるとはいえ生々しいことは変わらず,そう言った描写が苦手な者は精神を強く保つ必要があるだろう。私が中学生時分に本作を鑑賞したとすれば,体調悪化により途中退席は免れなかったはずだ。とはいえこのような表現を必要なものとして使用することが決断されただけのことはあり,「メイドインアビス」の深い世界観が克明に描写されていて大変面白い作品に仕上がっていたように思う。プルシュカの来歴に纏わる畳みかけには必然涙腺が緩んだ。個人的にはナナチが外科手術の知識と技術を豊富に有していた理由が判明した点で非常に納得感と満足感が高かった。

メイドインアビス」という物語の中で既に放映されたアニメの続きのお話であることや,非常にショッキングな映像が続くことに加え,そもそもR15+指定ということもあって万人に薦められる作品であるわけでは当然ないのであるが,アニメでこの物語の深淵な世界観に魅了された人間であればきっと楽しむことができるように思う。