『STAND BY ME ドラえもん』

『STAND BY ME ドラえもん』は2014年夏に公開されたドラえもんの映画作品である。例年3月に公開されている所謂「大長編」とは異なる立ち位置で、人気のある短編作品をオムニバス的に収録しつつ、1本の長編映画として筋の通ったストーリー展開に仕立てている。今月20日には続編の『STAND BY ME ドラえもん 2』が公開されている。

私は公開当時ドラえもん熱が殆ど冷めていたうえ、3DCGアニメに対しても余り快い印象を持っていなかったから、この映画に関しては意識的に観ないことを選択していた。ドラえもん熱が再燃した現在になってどうにか観る手段を模索していたところに、続編の公開に伴って金曜ロードSHOW!で放映がなされ、漸く鑑賞に至ったわけである。

総体としては、悪くはない作品であると感じた。

3DCGについては、ドラえもんの歯が高頻度で描写される点に若干の気持ち悪さを感じつつも、全体として違和感を強く感じることはなかった。

ストーリーについても、短編作品がテンポ良く纏められていたように思う。「ドラ泣き」という宣伝文句で売り出していた割には、キャラクターの涙を前面に押し出して演出で泣かせようとするのではなく、淡々とストーリーを進めながら自然と泣かせるような作りになっていたのではないだろうか。

ただ、如何せん、いくつもの短編作品を1つに纏める構成であるが故に、ひとつひとつの物語の起伏が小さく、本作品だけでは感情の揺り幅が大きくはならないのではないかと感じた。『のび太結婚前夜』や『帰ってきたドラえもん』などはそれらだけで過去に感動中編映画が作られた程度には単独で力を持ち得る作品であり、本作では各エピソードにつき原作を出来るだけなぞって余計な脚色を極力しない方針で制作されたのだとしても、それらを並べてしまうと場面ごとの力強さが相対的に弱くなってしまうように思う。とはいえ、纏め方自体は秀逸の感があり、良く出来ていると言っても過言ではないだろう。

本作オリジナル要素であるらしい「成し遂げプログラム」については、高度に自律的に行動し思考するロボットに対する処置として些か暴力的に過ぎるように見えたものの、それでもやはりロボットはロボットで人間ではないと考えれば、本作を纏める軸として取られ得る一つの選択肢であったのかも知れない。

本作を未視聴であったため続編の公開初日鑑賞は見送ってしまったが、こうして視聴した今では心置きなく続編の鑑賞に臨める。CMを見て若干の不安要素はあるものの、可能な限り早く2を鑑賞してしまいたい。