『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』

本作品は2020年春アニメとしてMBS等で放映されていた。1クール12話完結。私は全話をdアニメストアにて視聴した。原作は山口悟による同名のライトノベルシリーズである。原作小説は2014年7月から小説家になろうにて連載され*1,2015年に一迅社文庫アイリスから書籍化された。現在9巻まで続刊している模様だが,元々は2巻完結予定であったらしく,3巻以降は書き下ろしである*2電子書籍化もされている。

私はアニメを6話まで視聴した後に,電子書籍にて原作を3巻まで読了した。アニメ6話までの流れはアニメという媒体に合わせてか多少展開が異なる箇所はあるものの,おおむね原作と一致している。個人的には,カタリナ脳内会議のメンバーがアニメ独自のものであったことには驚いた。アニメにおいてカタリナの脳内には議長,真面目,強気,ハッピー,弱気の5人のカタリナが住み着いているが,原作1巻の作戦会議では議長,議員,書記の3つの役割が確認できるのみである*3。メンバーを5人にして役割を感情と組み合わせることで映像媒体として小気味良い演出が可能となっており,良い変更だったと思う。アニメの7話,8話と9話の後半とのストーリーは原作3巻までには存在せず,恐らくアニメオリジナルの展開ではないかと思われる。7話と8話などは本作の他の話に比べて作画が多少見劣りしていたように感じられなくもなかったが,そもそも本作の画面は基本的には美麗に描かれており,また時節柄アニメ制作の困難さは推して知るべしであろうから,取り立てて大きな問題という訳でもなかろう。全体としては非常にテンポが良く演出も気の利いた良いアニメだった。

公式サイトを確認してみれば,2021年にアニメ第2期の放送を予定しているという*4。原作3巻以降のアニメ化になるとは思うが,どのように映像化されるのか,期待して待ちたい。

*1:山口悟『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…:1』(一迅社文庫アイリスKindle版,2015年)位置No.3394-3395。

*2:山口悟『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…:3』(一迅社文庫アイリスKindle版,2016年)位置No.3054-3057。

*3:山口・前掲注(1)位置No.235-237。

*4:https://hamehura-anime.com/news/978/