スレ発ラノベ4

私の知らぬ間に世間は柔軟に大きな躍動をしていたようで,今月25日から1か月間のうちに,ある共通点を持った4作のライトノベルが刊行される。その共通点とはすなわち,「やる夫スレ発祥」ということである。一連の企画の名称は「スレ発ラノベ4」とされている。1から3が存在するわけではなく,4作連続刊行だから「4」なのだと推察され,この命名方法は「ファンタスティック・フォー」を思い起こさせる。

スレ発の書籍というと代表的なのは言わずと知れた『電車男』なのだろうが,本作品群はこれとは趣を異にし,系統で言えば以前のエントリーで言及した『ゴブリンスレイヤー』と同列である。スレはスレでもやる夫スレ発なのだ。

刊行される4作は『朝比奈若葉と○○な彼氏』*1,『君は死ねない灰かぶりの魔女』*2,『クレイジー・キッチン』*3,『アキトはカードを引くようです』*4である。元とされるスレは順に『翠星石と白饅頭な彼氏』*5,『白頭と灰かぶりの魔女』*6,『やらないキッチン』(『キッチン【やらない - O】』との表記ゆれがある(「- O」の部分にも多種の表記ゆれがある))*7,『やる夫はカードを引くようです』*8の4作である。

どのスレもまとめサイトのカテゴリー欄で1度は目にしたことがあるし,年度別おすすめスレの記事などでも見覚えがあるものばかりである。『翠星石と白饅頭な彼氏』と『白頭と灰かぶりの魔女』は私がボーイミーツガールを得意でないため敬遠してしまっているが,『やらないキッチン』は大層笑わせてもらった記憶がある。『やる夫はカードを引くようです』は,タイトルからみてこれも私の苦手な遊戯王MtGの二次創作だろうと思い込んで食指が動いていなかったところ,今回改めて確認してみれば大変面白そうなオリジナル系の話だったので,今からでも読み進めていきたいところだ。

やる夫スレ発の書籍が大量に出る時代になるとは,5年前には夢にも思っていなかった。なろう系小説ブームの次世代となるようなやる夫スレ系小説の時代の揺籃期に差し掛かっているのかもしれない。今回書籍化した4作品以外にも数多の良作・傑作がやる夫スレ界隈には存在するから,そういった物語もいつか書籍になるときが来れば,一読者としてこんなに喜ばしいことはない。

そういえば,「スレ発ラノベ4」の公式サイト(https://foraastory.kadokawa.co.jp/)のサブドメインは「foraastory」となっている。「fouraastories」でないということは,今後もやる夫スレ系の新刊の情報が当該サイトから発信される可能性を夢見ていいのだろうか。それは夢を見過ぎなのだろうか。

foraastory.kadokawa.co.jp

*1:間孝史『朝比奈若葉と○○な彼氏』(MF文庫J,2019年9月25日刊行)。

*2:ハイヌミ『君は死ねない灰かぶりの魔女』(カドカワBOOKS,2019年10月10日刊行予定)。

*3:荻原数馬『クレイジー・キッチン』(カドカワBOOKS,2019年10月10日刊行予定)。

*4:川田両悟『アキトはカードを引くようです』(MF文庫J,2019年10月25日刊行予定)。

*5:◆/H7wY7ybL2『翠星石と白饅頭な彼氏』(2010年-2011年・完結)。

*6:◆5QXHO4/GJY『白頭と灰かぶりの魔女』(2016年-・現行)。

*7:◆08T8EOtaSs『やらないキッチン』(2009年-2010年・完結)。

*8:◆V3JH9gEFEA『やる夫はカードを引くようです』(2014年-・現行)。