『オールザッツ漫才2019』白桃ピーチよぴぴ

令和元年最後にして最大の衝撃が生まれた。
正確にはまだ約2日残ってはいるものの,そう言い切って過言ではない存在が私の目の前に現れたのである。

白桃ピーチよぴぴ,だ。

たまたまHDの整理でもするかとTVを点ければオールザッツ漫才の放映中であった。折角だしと思い整理作業もそこそこに番組を鑑賞していたところにこの新星が現れたのである。

ご本人のTwitterによればNSC41期で芸歴1年目らしい。しかし,新人とは思えない圧倒的な完成度であったように思う。

女性アイドル風の出で立ちで,女性アイドルの自己紹介様のフレーズを,身振りを交えて行うという芸風であったが,恐るべきはその再現度である。生身でできるバ美肉の極致とも言えるだろう。

まずメイクや衣装が様になっている。頭の天辺から爪先まで見事にアイドル然としている。次に身振りも凄い。前髪の触り方,体の前での手の動かし方,立ち方,膝の付き方,言葉のまごつき方,その全てが可愛い。そして声が素晴らしい。声の調子,高低,強弱,出し方,あらゆる点で仕上がっている。もうこのアイドルはここにいる。

番組で,そしてTwitterでの反応で,話題の中心となっていたのはよぴぴが最後に残した高速の呪文である。Twitterでは「何を言っているか分からなくて面白い」という声を目にした。確かに何を言っているか分からないことから来る面白さもあるのだろうが,私はそれがよぴぴの面白さの全てではないように思う。

よぴぴの高速詠唱は,締めの挨拶の一部である。あまりその方面に明るくはないのだが,恐らく女性アイドルユニットで良くある(と思われる)リズミカルな自己紹介の形式を踏襲しているのだろう。よぴぴの締めの挨拶は初めは4拍子のリズムで構成されており,書き出せば,

(1拍目)|(2拍目)|(3泊目)|ハーイ(弱起(弱起?))|

毎日|キラキラ|ラッキーエブリー|デイ!(半拍休み)|
すずの|ギャグは|どない|さかい?|

となる。これに続く部分が件の早口言葉なのだが,

今はまだ小さなアヒルの子 いつかはなりたい白鳥の湖
どうも広瀬すずでした
また見てにゃん

最初の一行は「どないさかい?」のある4拍目の裏拍から割り込んで詠唱が開始され,しかもこの分量の早口であるからリズムに当て嵌まるかも定かでない。「どうも広瀬すずでした」はかろうじて聞き取れ,「また見てにゃん」ではまたリズムが復活して終わる。

蓋し,リズムのあった所からリズムが外れることで一瞬理解が飛び,その理解の遅れを取り戻そうと耳に入ってきている言葉を頭の中で反芻して理解しようとするも,早口で理解が非常に困難になっていることで,本来なら理解できていなかった言葉がそこで理解できていたはずなのにさらに理解できなかったという裏切りが生じ,笑いが込み上げてくるのではないだろうか。思い返せば,この締めの挨拶より前のネタの中身でもリズムからリズムを外れる,逆にリズムを外れているところからリズムに乗る,という構成が採られていたようにも思う。

なお,早口言葉の部分に関して,Twitterでは「今はまだ醜いアヒルの子」であるという指摘を散見したが,今回のネタでは繰り返し音を聞いた限りでは「小さな」と言っていたようにも思う。他の出番ではどうなのか聴き比べてみたいところだが,アイドルの自己紹介ということを考えれば自分で自分を「醜い」と形容するのは少し不自然にも思えるとことである。

よぴぴについて書きたいことはまだあるが,ひとまずはこれにて。
こんごのよぴぴの動向に注目したい。