冨谷至『韓非子〔再版〕』(中公新書,2008年)

インプット強化を図るために多読しようなどと言ってから,新書を1冊読むのに1週間以上もかかってしまった。どうやらこれが現在の私の地力らしい。ここからどれほど強化できるかの方が重要であると思いたい。

最初に手に取ることにしたのは冨谷至の『韓非子*1である。私はだいたい他人から3度薦められるか,3人から薦められればその本を積読に追加している。この本は大学の教員推薦欄で1度見たのと,別の教員から1度薦めを受けたのとの2回で積読に追加していたものだったと記憶している。

本書は,はじめにと第一章,第二章で韓非を論ずるに必要な時代背景や史料,他の中国古代思想家を紹介し,第三章と第四章で韓非の法家思想を検討している。

韓非は利益を求めて行動するところに人の性をみつけ,恩賞と刑罰を定めその適用を徹底することで人に罪を犯させないようにし,もって安寧秩序を現出しようとしたようである。

現代日本は西洋近代諸国の法システムを継受して今日まで至っていることからして,法家の根本思想とは相容れない部分が多いものの,個人的な心情としては一つの考え方として肯けるところもままあった。

持ち時間30分で原著を片手に読書感想文をまとめる技量はまだ私にはないことがよく分かった。30分ルールの方を優先しつつ,今後も訓練を重ねたい。

*1:冨谷至『韓非子〔再版〕』(中公新書,2008年)。