Twitterでそれとなく話題になっていた『アメリカン・アニマルズ』を観に行った。
クライム・エンターテインメントでありながらドキュメンタリー映画であるというような感想を目にしたのだが,私はどちらかというとドキュメンタリーでありながらクライム・エンターテインメントとしても楽しめる映画であるという印象を持った。
『アメリカン・アニマルズ』は,アメリカ合衆国ケンタッキー州のトランシルヴァニア大学に保管されていた稀覯書を大学生ら4人が盗み出そうとした実際の事件が基になっている――というか,映画の冒頭でも確認させられたが,基になっているのではなく,実際の事件の映画である。
映画には事件の犯人がインタビューに答えるカットもあれば,犯人の家族のインタビュー場面もあった。主犯2人の回想も取り入れながら,事件の流れを細かに再現している。
日本のテレビ番組でも,世界で起きた犯罪を再現ドラマ仕立てにして煽情的に放送しているものがあるが,『アメリカン・アニマルズ』はそれほどまでに下品なわけではないものの,構成としては近いものがあるだろう。
ドキュメンタリーとしてそれなりに見応えはあったものの,そこまで基となった事件に興味があったり知識を持っていたわけでなく,ハラハラする感覚がそこまで得意ではない気質のせいで,クライム・エンターテインメントとして作られていた本作品はそこまで私の心に深い爪痕を残したわけではなかった。
途中,犯人の1人が盗品のバイヤーに会いにオランダへ行ったのか行かなかったのか,本人の言を信じるほかないという別の犯人の独白がなされたが,刑事裁判で彼のパスポートが証拠として採用されるなどしてその事実は明らかになっていなかったのか,本作がドキュメンタリーであるがゆえにその点は気になった。
本編とは全く関係が無いが,上映前の予告で『アナと世界の終わり』というイギリスのゾンビ・ミュージカル映画の宣伝が流れ,そこまで過激とも言えない程度の残虐描写にかなり参ってしまった。『キングスマン』でも,まるでコメディーのようだったにもかかわらず人の頭が弾け飛ぶシーンでグロッキーになってしまったから,どうやら三次元の残虐描写には年を経るごとに耐性がなくなっているらしい。