久保田哲『帝国会議:西洋の衝撃から誕生までの格闘』(中公新書,2018年)

1日1章ずつ位のゆったりとしたペースで約1週間かけて今日読み終えたのが『帝国会議』*1である。

私は高校で日本史を履修しなかったが故に(本当は履修していないといけなかったのかもしれないがカリキュラムの都合がどうだったのかは定かではない),明治時代辺りの日本史の知識がかなり薄い。基本的なことも分かっていないまま,やれ鳥羽伏見の戦いがどうした西南戦争がどうした,明治6年の政変がなんだ明治14年の政変がなんだとWikipediaの記事を読んでいても目が滑るばかりで頭の中によく入ってこないのである。

本書は江戸時代のペリー来航から帝国議会誕生後まもなくまでを,いかなる経緯でどのような人物が何をなしたのか,歴史の流れが分かるよう丁寧に描写している,と思う。少なくともあまり明治に明るくない私にはそこまで読みにくい書物ではなかった。巻末には帝国議会関連年表が付属しており*2,1853(嘉永6)年から1891(明治24)年までの各年に何が起きたかすぐに見て取ることができる。知りたい出来事をこの年表から探し,それに関連する記述を本文に立ち戻って読み返す辞書的な使用も可能だろう。使いやすい1冊でもある。

短いようでいて長い約40年の,江戸幕府が倒れてから数えれば20数年の激動の期間に,厖大な数の人々が議会の開設に向けて尽力してきたという事実にようやく気付くことができたような心持ちである。

年表と同様に巻末に付された莫大な参考文献なども活用しながら,この分野については更に理解を深めていきたい所存だ。

*1:久保田哲『帝国会議:西洋の衝撃から誕生までの格闘』(中公新書,2018年)。

*2:久保田・前掲注(1)272-266頁。