『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』第1話

まず,私はこの作品の原作を知らず,またアニメも第2話以降の視聴をしていない前提なので,本稿における考察の全てが誤っている可能性があることを断っておく。さらにここで考察している程度のことは世のスコッパー諸賢が既に考察済みであろうことも断っておく。

情報の整理が必要である。恐らく作中における「高校生」と現実世界における高校生の指す内容には相当の乖離が生じていることは想像に難くない。

超人高校生ら7人のもつ肩書はそれぞれ発明家,剣豪,医者,実業家,マジシャン,ジャーナリスト,政治家である(全てにおいてその頭に「世界最高の」が付く)。現代日本の一般的な高校生を15歳から18歳で高等学校に在学している者とすると,これらのうち現代日本において一般的に高校生と兼務できないのは,被選挙権の最低年齢が25歳である政治家と,医師国家試験受験資格に医学正規課程卒業が求められる医者である。25歳時点で高校生かつ政治家はまだありえなくもないかもしれないが,医者はかなり厳しいように思う。基本的な医学正規課程入学試験の受験資格としては高等学校卒業か高卒程度の認定資格が必要であろうし,医師国家予備試験経由での受験を目指しても外国の医学校入学資格は高等学校卒業以上を求めているようである*1。発明家も,分野や扱う物によっては年齢や実務経験等の制限がかかるものがあるかもしれない。剣豪,実業家,マジシャン,ジャーナリストは恐らく高校生との兼務にそこまで支障はないだろう。

然るにやはり問題は政治家と医者であるが,政治家の人物をより掘り下げてみれば,彼は日本初の首相公選制選挙により国民から総理大臣に選出されたようである。アニメ1話の台詞からすると少なくとも,首相公選制選挙での初当選からの連続かは不明であるが,首相を連続2期を務めている(現行の首班指名を受けて1期→直後の首相公選で1期の連続2期,最初と2回目の首相公選で連続2期,最初の首相公選で1期の後に別の誰かが首相となった後で連続2期の3パターンが考えられるであろう)。ここからして作中の日本は大規模な法改正が起こっていることは確定的に明らかであり,一教育機関の在学生を指していた「高校生」の意味内容が一転していて何ら不思議はない。各人が何かしらの職業についていることからすれば,現代日本における社会人大学院生と近い身分であるとも考えられる。彼らが少年少女であるとナレートされていることからすれば,作中の教育機関は相当に高度化・若年化しているのだろう。その上で彼らは「世界最高の」と主観的価値判断でもって断定的に形容される程に優秀な人物群である。

彼らが飛ばされた異世界の医療レベルや文明度,食糧事情に言語文化と国家体制などについても考えたかったが,そろそろ飽きたのでこの辺にする。マヨネーズノルマ達成作品とは久しぶりに出会った。

*1:厚生労働省「医師国家試験受験資格認定について」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2012/05/tp0525-01.html,2019年11月7日最終閲覧)。